
セラミック治療は、天然歯に近い自然な見た目と高い耐久性から、近年多くの方から注目されています。
しかし、自費診療で費用が高額なため、「少しでも費用の負担を減らしたい」「セラミックは魅力的だが費用が気になる」とお悩みの方も多いでしょう。
そんなときは、医療費控除を活用することで、セラミック治療の実質的な費用を抑えられる可能性があります。
この記事では、セラミック治療の費用が医療費控除の対象になるケース・ならないケース、いくら戻るのかの計算方法などについてわかりやすく解説します。
セラミック治療は医療費控除の申請で費用を軽減できる

セラミック治療は自費診療のため費用が高くなる傾向にありますが、医療費控除を活用することで負担を軽減できる可能性があります。
ここでは、セラミック治療とはどのような治療か、医療費控除の仕組み、そして対象になるケース・ならないケースについて解説します。
セラミック治療とは?
セラミック治療とは、審美性・耐久性に優れたセラミックの詰め物(インレー)・被せ物(クラウン)を使用して、歯の見た目や機能を回復させる治療です。
インプラントの上部構造(人工歯)として用いられることもあります。
保険治療の補綴治療として一般的な銀歯は、金属が口腔内で劣化しやすく、金属アレルギーのリスクや変形などによる虫歯のリスクが高くなるなどのデメリットがあります。
一方セラミックは、天然歯に近い透明感のある見た目で審美性に優れ、耐久性も高いのが特徴です。
金属を使用しないため、金属アレルギーを引き起こすリスクもありません。
寿命は素材にもよりますが平均して約10〜15年といわれており、適切なメインテナンスを行った場合には20年以上持つケースもあります。
医療費控除とは?
医療費控除とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告を行うことで所得税の還付や住民税の軽減を受けられる制度です。
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた分が控除対象になります。(上限200万円まで)
本人だけでなく、生計を共にする家族全員の医療費を合算して申告できます。
医療費控除の対象になるケース・対象外のケース
セラミック治療は保険適用外の自費診療ですが、治療目的であれば医療費控除の対象になります。
一方、見た目の改善を主な目的とした場合(審美目的)は対象外です。
医療費控除の対象として認められやすいケース、対象外となるケースの例を以下で見てみましょう。
| 対象として認められやすいケース | ・虫歯治療後の機能回復が目的の治療 ・金属アレルギーがあり、健康上の理由での治療 ・噛み合わせの改善や咀嚼機能の回復を目的とした治療 |
|---|---|
| 対象外のケース | ・歯の白さの改善のみが目的の治療 ・健康な歯の歯並びや形を整える審美目的の治療 |
自分が受ける予定の治療が医療費控除の対象になるかどうか、担当の歯科医師に事前に確認しておきましょう。
セラミック治療で医療費控除の対象になる費用

セラミック治療に関連する費用であっても、医療費控除の対象になるものと、ならないものがあります。
ここでは、対象になる費用と対象にならない費用をそれぞれ紹介します。
対象になる費用
治療目的・機能回復目的で行われたセラミック治療の場合、以下のような費用は医療費控除の対象になります。
- 治療費(材料費や技工料などを含む)
- 治療に関連する医薬品・市販薬の購入費(処方薬や市販の鎮痛剤など)
- 通院のための交通費(付き添いが必要な場合は、付き添い人の交通費も含む)
なお、通院時の電車・バスなど公共交通機関の交通費は対象になりますが、自家用車での通院にかかるガソリン代や駐車場代は、原則として対象外となるため注意しましょう。
領収書はすべて保管しておくことが大切です。
公共交通機関の運賃は領収書がないため、通院日や金額と合わせて記録しておきましょう。
対象にならない費用
セラミック治療では、以下の費用は医療費控除の対象にはなりません。
- 審美目的の治療費・交通費など
- 自家用車での通院にかかるガソリン代・駐車場代
- タクシー代(一部例外あり)
- デンタルローンなどにかかる金利・手数料
タクシー代は基本的に医療費控除の対象外ですが、電車・バスの利用ができないなどやむを得ない事情がある場合は、認められるケースもあります。
セラミック治療の医療費控除の申請のやり方・手順

医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。
会社員・パート・アルバイトなどの方は年末調整が行われますが、医療費控除は年末調整では申告できないため、別途確定申告を行いましょう。
ここでは、医療費控除の申請のやり方を手順に沿って解説します。
1:必要書類を揃える
まずは医療費控除の申請に必要な書類を準備しましょう。必要書類は以下の通りです。
- 医療費通知(保険診療分)
- 歯科医院の領収書
- 確定申告書および医療費控除の明細書
- 源泉徴収票
- マイナンバー記載の本人確認書類
- 口座(還付金の振り込みのため)
領収書は提出不要ですが、申告内容の確認のために5年間は保管が必要です。
通院時の交通費を申請する場合は、日付・区間・金額を記録し、わかるようにしておきましょう。
2:医療費控除の明細書を作る
医療費通知(保険診療分)や領収書を見ながら、「医療費控除の明細書(内訳書)」を作成しましょう。
医療を受けた方の氏名・医療機関名・支払年月日・支払金額・保険等で補填された金額などを記入します。
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」や「e-Tax」を利用すると、案内に沿って入力するだけで自動的に作成・計算されるため便利です。
家族の分の医療費も合算できるため、忘れずに併せて申告しましょう。
3:確定申告書を作る
医療費控除の明細書が完成したら、「医療費控除の明細書」で算出した控除額を確定申告書にも記載します。
確定申告書も「確定申告書等作成コーナー」や「e-Tax」を利用すれば画面の案内に従って入力するだけで自動的に控除額が計算・反映されるため便利です。
紙で作成する方法もありますが、入力ミスを防ぐためにもオンラインでの作成がいいでしょう。
還付金の振込先となる口座情報や他の必要事項も記入が済んだら、確定申告書の作成は完了です。
4:税務署に提出する
作成が済んだ書類を税務署に提出しましょう。提出方法は以下の3つがあります。
- e-Tax(電子申告)……自宅から24時間申告が可能
- 郵送……申告書を印刷して税務署に郵送
- 税務署の窓口に直接持参……不明点をその場で担当者に確認できる
最近では自宅から手続きが完結するe-Taxの利用者が多く、紙の申告に比べて還付金の振り込みも早い傾向にあります。
確定申告期間は通常、毎年2月16日~3月15日ですが、医療費控除のみの場合は還付申告として期限後でも申請可能です。(該当年の翌年の1月1日から5年以内)
5:口座に振り込まれた還付金を確認する
還付金がある場合は、後日指定した口座に還付金が振り込まれます。
振り込みまでの目安は、e-Taxによる電子申告の場合で約3週間程度、郵送・窓口での提出の場合は約1か月〜1か月半程度が目安です。
「いつまで経っても入金されない」という場合は、書類の不備がないか確認し、税務署へ問い合わせてみるといいでしょう。
セラミック治療の医療費控除でいくら戻る?還付金の計算方法

医療費控除によって還付される金額は、「医療費控除対象額」と「所得税率」によって決まります。
同じ治療費を支払っていても所得の違いによって還付金額は異なるため、まず基本の仕組みや計算式を理解しておきましょう。
まずは、以下の式で医療費控除額を計算します。
【医療費控除額 = 支払った医療費 − 保険金などで補填された額 − 10万円(または所得の5%)】
上で計算した「医療費控除額」に「所得税率」をかけたものが還付金額の目安になります。
【還付金= 医療費控除対象額 × 所得税率】
還付金・住民税のシミュレーション例
具体的にイメージするため、「年収300万円の方が、セラミック治療費で30万円かかったケース」の還付金と住民税の軽減額のシミュレーション例を見てみましょう。
【条件】
- 年収:300万円
- セラミック治療費:30万円
- 保険金補填:なし
- 所得税率:5%(想定)
- 住民税率:10%
【還付金の計算】
- 30万円 − 10万円 = 20万円(医療費控除額)
- 20万円 × 5%(所得税率) = 1万円
【住民税の計算】
- 20万円 × 10% = 2万円
医療費控除を申告すると、所得税の還付だけでなく、翌年の住民税も約10%軽減されます。
合計すると、約3万円の負担軽減になります。
セラミック治療で医療費控除の申請する際の注意点・ポイント

節税効果を高くするためにも、医療費控除を申請する際の注意点・ポイントを知っておきましょう。
5年以内であれば遡って申告できる
医療費控除の申請は、治療を受けた年の翌年1月1日から5年以内であれば、過去に遡って申告することが可能です。
通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)を過ぎていても受け付けてもらえるため、「申告を忘れていた」「当時よく知らなかった」という方も諦めずに申請してみましょう。
領収書は捨てずにとっておく
医療費控除の申請時に領収書を税務署へ提出する必要はありませんが、申告後も確定申告期限から5年間は自宅での保管が義務付けられています。
セラミック治療は自費診療であり「医療費のお知らせ(医療費通知書)」には記載されないため、税務署から内容確認を求められた際にすぐに提示できるように、しっかり保管しておきましょう。
所得が高い人が申請した方が節税効果が高くなる
医療費控除による還付金額は、所得税率によって変わります。
例えば、医療費控除額が20万円の場合、所得税率5%の場合の還付額は1万円ですが、税率20%の方なら4万円、税率33%の方では6.6万円になります。
家族で医療費を合算できる場合は、所得の高い方がまとめて申告するといいでしょう。
医療費控除以外でセラミック治療の費用を軽減する方法

ここでは、医療費控除以外でセラミック治療の費用負担を抑えるためのポイントを解説します。
複数のクリニックを検討し技術力も考慮して選ぶ
セラミック治療は自費診療のため、同じ素材・同じ治療内容でも歯科医院によって費用が大きく異なります。
複数のクリニックを比較することで相場がわかり、費用を抑えることにつながります。
ただし、値段の安さだけを基準にクリニックを選ぶのは避けましょう。
セラミックの仕上がりは、担当歯科医師や歯科技工士の技術力に左右されます。
トラブルや仕上がりに不満が生じれば結局費用がかさむことになりかねないため、技術力や症例実績、説明の丁寧さなども総合的に判断し、信頼できるクリニックを選びましょう。
費用が抑えられる素材を選ぶ
セラミック治療には以下のようないくつかの種類があり、素材によって費用は異なります。
- ジルコニア
- ジルコニアセラミック(ジルコニア+セラミック)
- イーマックス(二ケイ酸リチウムガラスを主成分にしたセラミック)
- ハイブリッドセラミック
中でも、セラミックとプラスチック(レジン)を組み合わせた素材の「ハイブリッドセラミック」は、オールセラミックやジルコニアと比べて、費用が抑えられる傾向にあります。
ただし、プラスチックを含むためオールセラミックより透明感や審美性がやや劣り、経年劣化による変色も起こりやすい点がデメリットです。
治療する部位や優先したい条件を歯科医師とよく相談したうえで素材を選びましょう。
分割払い・デンタルローンを利用する
セラミック治療は複数本になると総額が数十万円に及ぶこともあります。
まとまった費用を一括で用意するのが難しい場合は、分割払いやデンタルローンを活用すれば、1回あたりの支払い負担を軽減可能です。
ただし、分割払いやローンには金利や手数料が発生するため、治療費の総額は一括払いより高くなります。
まとめ
セラミック治療は自費診療のため費用が高額になりがちですが、医療費控除を申請することで実質的な負担を軽減できます。
申告を忘れていた場合でも5年以内であれば遡って申告できるため、過去に治療を受けた方もぜひ一度確認してみましょう。
小田原駅東口より徒歩9分の『難波歯科医院』では、カウンセリングコーナーを設け、患者様一人ひとりの口腔状態やご要望に合わせた丁寧なカウンセリングを行っています。
わかりやすい治療説明と明確な料金提示を心がけておりますので、セラミック治療の費用について不安がある方もお気軽にご相談ください。
監修者情報
難波歯科医院 歯学博士・理事長
難波 正英
経歴
- 1992年小田原高等学校卒業
- 1998年日本歯科大学卒業
- 1999年日本歯科大学附属病院臨床研修課程修了
- 医療法人 慈皓会 波多野歯科医院勤務
- 2003年臨床研修指導医資格取得2006年ISOI(国際口腔インプラント学会:ドイツ本部)インプラント認定医取得
- 2007年難波歯科医院勤務
- 2011年医療法人慈正会を設立 理事長に就任
- 2014年東北大学口腔システム補綴学教室博士課程修了
- 「歯学博士号」取得 博士論文タイトル
- 「パーシャルオーバーデンチャーの支台インプラント・支台歯・床下粘膜の荷重様相に関する生体力学的研究」
所属・資格
- ISOI(国際口腔インプラント学会:ドイツ本部)インプラント認定医
- 臨床研修指導医
- 日本補綴歯科学会 会員
- 日本口腔インプラント学会 会員
- OJ 会員(インプラントの学会)
